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限定承認・相続放棄

取り扱い業務(家族や相続のこと)

 「相続財産」とは、被相続人に属した一切の権利義務のことです。ここで、権利とは不動産や現預金等のプラスの財産を指し、義務とは借金等のマイナスの財産を指します。仮に、相続財産の中に、プラスの財産が全くなく、マイナスの財産しかなかったとしても、原則として、相続人は、この財産(借金の返済義務等)を相続します。

 このように、マイナスの財産が多い場合、あるいはマイナスの財産がどのくらいあるのかすら不明な場合、相続人の生活が脅かされることにもなりかねません。そこで、法は、相続人の意思を尊重し、相続人の保護をはかる制度として、限定承認と相続放棄の定めを置いています(民法第4章第2節、第3節)。

 神戸六甲わかば司法書士事務所では、相続に関する全般的なご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡下さい。

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単純承認とは

 「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければ」なりません(民法第915条1項)。

 単純承認とは、相続人が「無限に被相続人の権利義務を承継する」(民法第920条)という意思表示をすることです。相続人が単純承認すると、被相続人のマイナスの財産も無条件で引き受けなければなりません。

 しかし、単純承認の効果は、意思表示のみによって生じるのではありません。法は、以下の事由があった場合に、「相続人は、単純承認したものとみなす」(民法第921条)として、単純承認の意思表示を擬制しています。

  • 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
  • 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、限定承認又は相続放棄をしなかったとき。
  • 限定承認又は相続放棄した後であっても、相続財産の全部又は一部を隠匿し、ひそかにこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。

 相続開始を知りながら3ヶ月の期間が経過してしまったり、相続財産の一部を私的に流用してしまったり、相続財産を隠したりすれば、単純承認の効果が生じてしまいますので、注意しましょう。

限定承認とは

 相続によって得た財産の限度で被相続人の債務及び遺贈を弁済する責任を負う旨を留保して、相続の承認をすることが限定承認です(民法第922条)。相続財産が、全体としてプラスになるのか、マイナスになるのかが不明な場合等に、用いられます。

 限定承認の意思表示は、家庭裁判所に対する審判申立ての方法で行わなくてはなりません。限定承認手続きは、相続財産全体に関する清算手続きを伴いますので、相続人全員(放棄した者を除く)で申し立てる必要があります。また、限定承認してから5日以内に債権者および遺贈を受けた人にはその権利を請求するよう通知し、また一般に対しては債権届出をすべく公告します。

 このような過程を通して、確定した債権者や遺贈を受けた人に対しては、一定の順位に従って、相続財産から弁済を行います。その弁済の前提として、不動産などを競売手続等で換価する必要が生じることもあります。さらに、限定承認をすると、相続開始時に相続財産を時価で譲渡したものとみなされて、被相続人に譲渡所得税が課せられますので、税務上も注意する必要があります。

 また、被相続人が相続税の延納許可を受けていた場合に、その相続人が限定承認した場合、相続税の延納の許可を取り消されることがありますので、注意する必要があります。

相続の放棄とは

 相続人が、プラスの財産もマイナスの財産も引き継がない旨の意思表示をすることを相続放棄といいます。相続放棄は、債務超過の場合に行われるのが一般的です。しかし、他の相続人に財産を相続させたい時など、債務超過でなくても相続人の自由意思によって相続を放棄することも可能です。

 相続放棄の意思表示は、家庭裁判所に対する審判申立ての方法で行わなくてはなりません。「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」(民法第939条)という効果しかありませんので、相続人各自が、別々に相続放棄を行うことができます。

 なお、相続が開始する前(生前)に相続放棄することはできません。生前に、相続放棄する旨の念書を交わしたとしても無効です。

 相続の放棄をした者が、初めから相続人とならなかったものとみなされる結果、相続放棄者の子や孫に代襲相続は行われず、同順位の相続人の相続分が増えたり、同順位の人が全員放棄すれば次順位の人が相続人になったりします。よって、相続放棄の申立自体は、相続人各自が単独で行うものである、とは言っても、その影響については、事前に親族間(同順位相続人と、後順位相続人間)で打ち合わせをしておく必要があります。

※相続人等が受け取るべき生命保険金請求権や死亡退職金は、民法上は、相続財産ではありません。
 よって、相続人が、これらを受け取ったからといって、法定単純承認事由には当たりません。
 また、相続放棄した人でも、これらを受け取ることができます。
 しかし、生命保険でも、被相続人が受取人となっている場合の保険金請求権は、相続財産です。
 相続人がこれを受け取れば、法定単純承認事由に該当します。また、相続放棄した者は、これを受け取ることは出来ません。