遺 言
相続争いを未然に防いだり、相続手続をスムーズにするには遺言書の作成が有効です。また、相続税の節税のために生前贈与の手続を活用することも可能です。神戸六甲わかば司法書士事務所では、そのような相続開始前の対策についてお手伝い致します。遺言に関するご相談は、神戸六甲わかば司法書士事務所までお気軽にご連絡下さい。
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好評連載中のコラムには、遺言に関するものが数多くあります。遺言でお悩みの方は こちらもお読みください!
遺言の目的
遺言には、下記2つの目的があります。
① 遺言者の意思により自分の財産の処分を可能ならしめる
② 相続をめぐるトラブルを未然に防止する
特に②の目的と関連して、以下のような項目に当てはまる方には遺言書の作成をお勧めします。
- 法定相続分と異なる遺産分けをしたい場合
- 相続人の人数・遺産の種類・数量が多い場合
- 子供がいない為、配偶者と兄弟姉妹とが共同相続人となる場合(特に重要)
- 相続人以外に財産を与えたい場合
- 先妻と後妻のそれぞれに子供がいる
- 配偶者以外との間に子供がいる
- 推定相続人同士の仲が悪い
- 内縁の妻に財産を残したい
遺言の効果
遺言の効果としては、以下のような項目が挙げられます。
- 遺産の相続手続きができる
- 当然のことですが、不動産や自動車などは現物が引き継ぐ人(相続人・受遺者)の手に渡るだけでは不充分です。その“名義”が相続人・受遺者に移転されて初めて相続手続きの完了となります。
遺言書によって名義変更ができること、これが遺言書の効果です。
- 当然のことですが、不動産や自動車などは現物が引き継ぐ人(相続人・受遺者)の手に渡るだけでは不充分です。その“名義”が相続人・受遺者に移転されて初めて相続手続きの完了となります。
- 遺産の相続手続きが“確実に”できる
- 例え一緒に生活していたご家族でも遺言者の財産の全てを把握できているとは限りません。自宅前の私道、実家に一部持っている不動産、複数存在する銀行口座や証券口座など、相続手続きの中で見落とされる可能性のある遺産は多々あります。
これらについて遺漏なく遺言書に記載しておくことによって遺産の全てについて相続手続きが確実に行われることになります。
- 例え一緒に生活していたご家族でも遺言者の財産の全てを把握できているとは限りません。自宅前の私道、実家に一部持っている不動産、複数存在する銀行口座や証券口座など、相続手続きの中で見落とされる可能性のある遺産は多々あります。
- 遺産の相続手続きが“単独で”できる
- 遺産相続手続きは、遺言書が存在しない場合には法定相続人の間で“遺産分割協議”をして行うことになります。
遺産分割協議成立には法定相続人全員の同意が必要となりますが、法定相続人全員が揃わない、同意が得られない等々遺産分割協議が成立しない ケースは多々あります。しかし遺言書がある場合、遺産分割協議が不要となるため上記のようなケースでも遺産の名義変更が可能となります。
これが最も重要な遺言書作成の効果かもしれません。
- 遺産相続手続きは、遺言書が存在しない場合には法定相続人の間で“遺産分割協議”をして行うことになります。
- 遺産の相続手続きが“スムーズに”できる
- 遺言書による相続手続きの場合、遺産の処分方法などが明確となるので、作成・収集が必要な書類がかなり減少します。
遺言書がなく、遺産分割協議を行った場合、法定相続人全員を明らかにするため亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本全てをそろえる必要があります。これに対し、遺言書による相続手続きでは(原則的に)遺言者と受遺者の関係が明らかになる程度の書類を集めれば充分です。
書類収集にかかる手間や時間、経済的負担は遺言書の有無によって大きく異なります。
- 遺言書による相続手続きの場合、遺産の処分方法などが明確となるので、作成・収集が必要な書類がかなり減少します。
遺言書が効力を発揮するのは遺言者が亡くなった後ですから、遺言書に欠缺があったからといって作成しなおすことは不可能です。遺言書が意図した効力を発揮し得るどうか、そして遺言書による相続手続き(=遺言執行)ができるかどうかという問題は、遺言の作成時に考慮すべき問題です。
遺言書の種類
一般的に利用される遺言書の方式は、自筆証書遺言と公正証書遺言です。それぞれ、下表のような特徴があります。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | |
---|---|---|
公証人 | 必要なし | 必要 |
書く人 | 本人が自筆(ワープロ不可) | 公証人(口述筆記) |
署名・押印 | 本人のみ | 本人・証人・公証人 |
封入・封印 | 望ましい | 必要ない |
作成の費用 | なし | 公証役場16,000円~ +証人依頼費用 |
証人 | 必要なし | 2人以上 |
遺言の存在 | 秘密にできる | 秘密にできない |
遺言の内容 | 秘密にできる | 秘密にできない |
保管 | 遺言者本人 | 原本は公証役場 正本・謄本は遺言者本人 |
滅失の危険性 | ある | なし |
改ざんの危険性 | ある | なし |
家庭裁判所の検認(※) | 必要 | 必要なし |
遺言書が無効 になる危険性 |
ある | ほぼなし |
※検認とは
相続人に対し、遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。家庭裁判所で行います。遺言を自筆証書で作成するか、公正証書で作成するかによって、その法的効力に差はありません。しかし、自筆証書遺言は、方式の欠如によって(例えば、日付の不備。民法第968条)、無効になってしまうことが散見されるので、公正証書で遺言書を作成することをお勧めします。
遺言書でできること
- 相続分の指定
- 誰にどの割合で相続させるかを指定できます。民法の法定相続分を変更することもできます。
- 認知
- 婚姻関係にない者との間に生まれた子(非嫡出子)を、親が戸籍上の手続きによって、自分の子だと認めることです。
- 遺贈や寄付による財産処分
- 遺産を特定の相続人や相続人以外の第三者に贈ったり(「遺贈」と言います。)、公益法人等に寄付することもできます。
- その他
- その他、遺言によって、後見人・後見監督人の指定、相続人の廃除・廃除取消、遺産分割方法の指定、相続人相互の担保責任の指定、遺言執行者の指定、遺留分減殺方法の指定等を行うこともできます。
遺留分と遺留分減殺請求
遺留分とは
本来、被相続人(財産を残し亡くなった人)が、生前所有していた財産については、遺言によって自由に処分することができますが、もし仮に、被相続人が遺言によって『全ての財産を愛人に譲る』と書き残した場合はどうでしょう。
残された家族が経済的に自立している場合には、それほど問題にならないケースもありますが、被相続人の財産に依存していた子供や配偶者にとっては、生活に困り路頭に迷ってしまうことが予想されます。
そこで、後に残された者の生活保障や、被相続人の財産維持・増加に貢献した者への潜在的持分を顕在化させる等の必要から、相続人には、遺言によっても侵害されない、一定割合の相続財産を受け取る権利が保障されています(民法第8章)。この一定割合の相続財産のことを「遺留分」と言い、 相続財産に対する遺留分の割合は、下記のとおりです(民法第1028条)。兄弟姉妹には、遺留分はありません。
直系尊属のみが相続人である場合 | 相続財産の3分の1 |
それ以外の場合 | 相続財産の2分の1 |
具体的な遺留分割合の算定については、上記の割合に、さらに当該相続人の法定相続分を乗じます。
例えば、被相続人であるお父さんに、妻1人、子供2人がいるという状況を考えてみましょう。お父さんが、愛人に対して、全財産である1億円の預金債権を遺贈してしまった場合、法定相続人の遺留分は、それぞれいくらになるでしょう? |
この場合、相続人全体(妻、子2人)の遺留分は、2分の1です。それぞれの法定相続分は、妻2分の1、子各4分の1です。よって、それぞれの遺留分は、「全体の遺留分割合×各相続人の法定相続分」ですから、妻4分の1、子各8分の1となります。すなわち、たとえお父さんが愛人に1億円の預金全てを遺贈したとしても、妻は2,500万円、子はそれぞれ1,250万円を受け取る権利が保証されているということです。
遺留分減殺請求とは
たとえ被相続人が遺留分を侵害する遺言(遺産全額を愛人に遺贈するなど)を残したとしても、その遺言が当然に無効となるわけではありません。
遺留分を侵害された相続人が、遺留分減殺請求を行使することによって、遺留分を侵害する遺言書の内容の効力を失効させ、その範囲内で財産を返せと要求することができるに過ぎないということです。さらに、相続人は、必ず遺留分減殺請求を行使しなければならないというわけではありません。つまり、被相続人の遺言に納得し、故人の意思を尊重したいのであれば、別に遺留分減殺請求権を行使する必要はないのです。
侵害された遺留分について権利を行使しようとする相続人は、遺留分を侵害している相手方に対して遺留分減殺請求を行います。請求の方法として、必ずしも裁判を起こさねばならないわけではありません。遺留分を侵害している相手方との話し合いによって、解決する方法が最も簡易です。しかし、話し合いで解決しなければ、家庭裁判所の調停や審判、あるいは裁判によります。いずれの方法をとるにせよ、相手方に対し、まず配達証明付内容証明郵便で請求を行うのが一般的です。遺留分減殺請求は、形成権であり、相手方への意思表示によって、法律上当然に減殺の効果が生じる(最判昭和41年7月14日)ため、証拠に残る形で遺留分減殺の意思表示をすることをお勧めします。
ひとつ注意すべきことは、相続人に遺留分という侵すことのできない相続財産に対する権利があるからといって、呑気に構えていて良いということではないということです。相続開始以降、一定期間が経過すると、遺留分減殺請求権を行使することができなくなってしまうのです。まず、相続開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内に、遺留分減殺請求を行わなければ、請求権が時効消滅してしまいます。
さらに、贈与等によって遺留分が侵害されていることを知らなくとも、相続開始のときから10年経過すると、遺留分減殺請求権は、除斥期間にかかって消滅してしまいます。
神戸六甲わかば司法書士事務所では、遺言書作成など遺言に関する様々な相談を受け付けています。