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投稿日:2014年11月09日【 遺言 】
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一般に遺言の作成方法には、
- 公正証書による方法
- 自筆証書による方法
があります。そして、どちらの方法をとっても、遺言の効力に変わりはありません。
しかし、一般論を言えば、遺言をするのなら公正証書で作成する方法を採るのが賢明だと思います。その理由として、公正証書遺言は、
- 方式の瑕疵をきたす恐れがほとんどない。
- 遺言書原本が公証役場に保管され、コンピューター管理される。
- 遺言執行時点を見越した遺言書作成がなされている。
という点が重要です。以下、上記の点について、自筆証書遺言と比較してみましょう。
1. 方式の瑕疵
自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自書し、押印しなければなりません(民法第968条1項)。これら方式を欠いた遺言書は無効とされます。これまで裁判で遺言書の有効・無効が争われたケースは、その多くがこのような一見些細とも思われるような方式の瑕疵をめぐるものでした。例えば、手が震える遺言者に対して、添え手をして作成した遺言書、作成の日付を「平成〇年〇月吉日」とした遺言等が無効とされています。
また、加除訂正の方法も、一般の法律文書よりも厳格な方法が定められています(民法第968条2項)。
公正証書遺言の場合には、その作成に法律の専門家が関与するので、方式の瑕疵により遺言書が無効となるリスクを回避することができます。
2. 遺言書の保管の問題
自筆証書遺言は作成後にも不安があります。1通しか作成していない遺言書を、いったい誰が保管するのでしょうか?保管者は、もしもの時に、ちゃんと検認の手続きを経て、誠実に遺言執行者への引継ぎを行ってくれるでしょうか?遺言書が滅失したり、隠匿されたり、改ざんされたりすることはないでしょうか?
公正証書ならば、遺言書の原本が公証役場に保管され、利害関係人はこれを全国の公証役場から検索・閲覧申請することができます。よって、遺言書が滅失したり、隠されたり、改ざんされたりする危険性は少ないと言えます。
3. 遺言執行を見越した遺言書作成
遺言書の内容についても、自筆証書遺言には不十分な点が多いのが実情です。遺言執行者の指定がなかったり、遺言者が外国人なのに準拠法が記載していなかったり、遺産の範囲が不明確であったり、金融機関が自筆証書遺言による遺言執行に難色をしめしたりと、相続開始後にかえってトラブルを生じてしまうことがあります。
この点、専門家の介在する公正証書ならば、予め遺言執行の手続き全体を視野に入れて遺言が作成されるため、内容の点でも安心と言えます。
起案を弁護士や司法書士などの専門家に依頼すること、それを公正証書化すること等、公正証書遺言の作成には確かに費用が伴います。しかし、自筆証書には上記のような不安があり、その不安の多くは公正証書の作成によって簡単に回避することができるのです。
遺言書作成、相続準備については、神戸六甲わかば司法書士事務所までお気軽にご相談ください。
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