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公正証書で和解する意味

投稿日:2014年10月23日【 金銭トラブル | 離婚

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 今回は、公正証書での和解について考えてみましょう。
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1. 私署証書か、公正証書か、という問題

 敷金返還に関する紛争の話し合いが合意に至ったとき、離婚の際の財産分与や養育費の支払いを取り決めたとき、返済の滞っている借金について分割払いの示談が成立したとき等においては、当事者間で合意書を交わすのが一般的です。

 この合意書は、私署証書(私人間の取り決めを記載した文書)で交わすべきでしょうか?それとも、公正証書で交わすべきでしょうか?

 この問題に対する答えは、取り決めの内容や履行確保についての見通しにより決まってきます。

 合意書の内容が金銭の支払いを内容とするものであって、かつその支払いが合意書取り交わしよりも遅れる場合には、公正証書を用いることを検討しても良いでしょう。

2. 強制執行のためには債務名義が必要

 上記1のように言う理由は、民事執行法第22条5号にあります。この条項において、「金銭の一定の額の支払・・を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの」が、強制執行を行うために必要な債務名義となると定められています。

 いくら合意が成立したからといっても、そこで取り決められた事項(債権債務の関係)が履行されないことには、意味がありません。そこで、債務者が債務不履行に陥った場合に、強制執行という手段で、債権を強制的に満足させる必要が生じることがあります。

 ところが、強制執行は他人の財産権に対する侵害ですから、そう簡単に行うことは出来ません。そこで民事執行法は、「債務名義」という債権の存在を公的に証明する文書があって初めて、強制執行を行うことができるという規律を設けているのです。

 債務名義の代表的なものは、確定判決です。これは例えば、私署証書に記載された債権に基づいて、債務者の財産に強制執行をかけようとするならば、債務者を被告として訴訟を起こし、勝訴判決を得なければならないということなのです。私署証書は、この訴訟手続きにおいては、債務名義ではなくて、債権を証する証拠の一つという意味しかありません。

 これに対して、同じ合意が公正証書でなされていれば、この公正証書自体が債務名義となり、これに基づいて強制執行を行うことができるのです。

 ただし、公正証書が債務名義となるためには、一定の条件があります。それは、以下の2つです。

  • 金銭の一定額の支払を内容とする債権の取り決めであること。
  • 債務者が、直ちに強制執行に服することを承諾する旨の記載(=執行認諾約款)があること。

 以上のような公正証書のメリットを理解していれば、裁判外でも実効性のある合意・和解を結ぶことができるでしょう。もちろん、執行するためには、支払義務を負う相手方に執行可能な財産(不動産、給与債権等)があることが前提となりますが。

 神戸六甲わかば司法書士事務所では、金銭トラブルや離婚等に伴う示談・和解の相談を扱っています。

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