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関西でもオンライン申請を推進しましょう!

投稿日:2015年04月16日【 不動産登記

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1. はじめに

イメージ:オンライン申請

 私が司法書士の資格を取って、最初に勤務した千葉県柏市の司法書士・土地家屋調査士事務所では、100%の登記案件(不動産権利・表示登記、商業・法人登記)をオンライン申請していました。オンライン申請とは、申請データを、インターネット経由で法務局のコンピューターに直接送信する方式のことです。これに対して、昔から行われている申請書類を法務局の窓口に持っていく申請の方式を、「窓口申請」、「書面申請」とか「紙申請」と呼んだりします。

 東京近郊では、オンライン申請の普及率が高く、金融機関や関係事業者(不動産業者、ハウスメーカー等)もオンライン申請に対して十分に認知しています。当然私も、オンライン申請が、既に司法書士業界では当たり前の申請方法であるという常識に、特に疑いを持つこともありませんでした。

 しかし、この「常識」は、関西地方では通じません。私も、神戸に引っ越してきて初めて気づいたのですが、関西地方では、今でも「窓口申請・書面申請」が主流です。これは、何故なのでしょうか?

 今回は、関西地方でオンライン申請方式が普及しない理由を検討するとともに、オンライン申請を普及させるためには何をする必要があるのか、について考えてみましょう。

 ちなみに、私の事務所(神戸六甲わかば司法書士事務所)では、どうしても書面申請しなければならない特殊事情がある場合を除いて、全ての登記案件をオンライン申請する方針です。

2. オンライン申請普及を阻害する要因

(1)オンライン申請は危険であるという偏見

 「停電や法務省のサーバーが故障した場合など、オンライン申請では危険である。」というような偏見があります。

 このような事を言う人は、多分、書面申請するために登記所に書類を持っていく途中で、書類を運ぶ人が交通事故にあったり、交通麻痺のため開庁時間内に間に合わなかったり、といった危険に考えが至らないのでしょう。

 むしろ、オンライン申請の準備をしておけば、インターネット・インフラが故障した際にも、素早く書面申請に切り替えることは容易く出来ます。逆に、書面で提出しようと思って準備してきたものを、慌ただしい申請予定日当日にオンライン申請に切り替えるのは、とても難しいことです。

(2)連続申請案件に複数の申請代理人がいること

 例えば、ある人が、銀行の融資を受けて建売住宅を購入したという場面を考えてみましょう。この場合、典型的には、①土地の移転の登記、②建物の所有権保存の登記及び③銀行(又は保証会社)の抵当権設定登記が必要になります。

 関東地方では、①~③の権利変動に関して、一人の司法書士がそれぞれの当事者(土地の売主及び買主、建物の買主、銀行)から委任を受けて、一連の登記を申請します。

 これに対して、関西地方でよくある例では、①に関して土地の売主からA司法書士が委任を受け、①及び②に関して土地・建物の買主からB司法書士から委任を受け、③に関して銀行からC司法書士が委任を受ける、というものです。この場合には、ABCという3人の司法書士が、一連の登記申請を行うことになります。

 私も、関西地方の不動産売買残代金の決済に立ち会った時に、当事者よりも司法書士(及びその補助者)の数の方が多かったというおかしな状況に何度も遭遇しました。一人で出来るような仕事を、立派な大人が5人も6人もかかってやるというのは、いかがなものでしょうか?

 実は、このように連続申請案件に複数の申請代理人がいると、オンライン申請にとっては、とても不都合です。なぜならば、オンライン申請が想定しているのは、一連の登記案件を、一人の申請代理人が全ての当事者から委任を受けて申請する場面だからです。

 複数の申請代理人が、同一又は連件関係にある登記を協同して申請することは不可能ではありません。しかし、それをするのは、オンライン申請に習熟した者ですら容易には試みないほど難しいことです。それであれば、複数の代理人が作成した書類を、ホッチキスでまとめて、法務局の窓口に提出する方がはるかに楽です。このように関西地方では、書面申請の方が楽であるという奇妙な状況が生じることがあります。

3. オンライン申請の利点

(1)行政手続きの効率化

 登記のオンライン申請も、政府の推進する「電子政府」化の大きな流れの一部です。電子化によって、行政の事務手続きが省力化されれば、税金をもっと有用な用途に振り向けることが出来るはずです。

 具体的には、法務局にとっては以下のようなメリットがあります。

  • オンライン申請においては、法務局員がデータ入力を繰り返す手間を省略できる。
  • 申請案件の審査に最低限必要な登記原因証明情報も、即時に法務局に送信・保存される。
  • 申請に誤りがあった場合の補正も、オンラインで行うことができる。
(2)司法書士事務所の事務の効率化

 司法書士事務所にとっても、オンライン申請には以下のようなメリットがあります。

  • 申請や補正のため、何度も書類を持って法務局に行かなくて済む。
  • 申請受付番号を、送信後即時に取得できる。
  • 単純作業のためだけに大勢の補助者を雇用する必要がない。

4. オンライン申請普及のために

(1)偏見の克服

 書面申請ばかりしている理由が、「皆がやっているからなんとなく今までどおりやっている」というものであれば、その態度は直ちに改めるべきです。オンライン申請など、導入してみれば誰でも扱える非常に簡単な仕組みです。使わなければ損です。

(2)不動産売買契約書の改訂

 不動産業者も、なんとなく皆の使っている売買契約書の雛形を使い続けているのでしょう。しかし一度契約書の文言を見直していただきたいのです。「登記申請代理人を指定する権限は、不動産の買主にある」という旨の一文を入れて欲しいのです。関東地方の標準的な売買契約書には、このような文言が入っているはずです。これにより、関連案件に過剰な数の代理人司法書士が関与することを防止することができます。

 細かいことを言い出せばきりがありませんので、今回はこのあたりで終えておくことにします・・・。

 神戸六甲わかば司法書士事務所では、不動産登記、商業・法人登記 など、登記の様々なご相談を受け付けております。

不動産登記、商業・法人登記など登記に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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