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債権回収について

投稿日:2015年07月06日【 金銭トラブル

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 司法書士という仕事柄、債権回収に関する相談を受けることが多々あります。相談者は、個人的に他人にお金を貸した人であったり、入居者に家賃を滞納されている大家さんであったり、他人の借金を一時的に立替えてあげたその知人であったり、交通事故の被害者であったりと、様々です。そこで問題になっている債権額は、比較的少額であることがほとんどです。

 今回は、主に貸金債権(金銭消費貸借契約にもとづく債権)を念頭に置いて、債権回収について考えてみたいと思います。債権回収といっても、その金額が大きかったり、債権の存否自体に争いがあったりするような場合は、むしろ弁護士の職域に属する問題です。これに対して、私が関わることの多い少額の債権回収には、訴訟だけでは解決できない特有の難しさもあります。

1. お金を貸す時の用心

 貸手が、貸したお金を本気で返してほしいのであれば、お金を渡す前に、考えるべきことや、講じておくべき対策があるはずです。そのような過程を経ずして、安易に人にお金を貸すべきではありません。

(1)担保を取ること
イメージ:債権回収 担保を取る

 債権を担保するため、不動産に対して設定する抵当権(民法第10章)、主に動産や権利に対して設定する質権(民法第9章)等のことを「物的担保」といいます。民法には規定されていない慣習上認められた譲渡担保等も、物的担保の一種です。

 物や権利ではなくて、第三者の経済的信用を担保とすることを保証(民法第446条他)といいます。保証は、「人的担保」といいます。

 物的担保にせよ人的担保にせよ、要するに、債権者が、借金の形(かた)を取っておくための手段です。

 担保を提供するのは、債務者自身に限りません。例えば、親が、子の借金を担保するために、自らの不動産を債権者に対して担保として差し出したり、自らが保証債務を負担したりするような場面が考えられます。

 しかし、人にお金を貸す時等に、何が何でも担保を取ればよいというわけではありません。担保の要否については、次のような点を考慮して判断するものです。

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  • 借金の目的(購入資金、事業資金)に合理性があるか?
  • 任意の履行が期待できるか(額、期間、債務者の言行、返済原資、返済計画)?
  • 担保として適当なもの(不動産、債権、人)が存在するか?
  • 貸金額、担保対象財産及び担保設定手続費用とのバランスはとれているか?
  • 担保提供者は誰(本人、親等)か?
  • 担保をとることが法令に反しないか?

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 さらに、私はこの他にも、

 7. 担保をとることが道徳や正義に反するものではないか、という点も考慮すべきだと思います。この点について、特に第三者による担保(保証又は物上保証。)提供が問題となります。

 日本では、債権者が、債務者以外の第三者に対して、担保提供させるということが古くからおこなわれ、法律上の制度としても確立しています。しかし、合法的だといっても、借金の責任を安易に第三者に押し付けるようなやり方は、貸手側の当然果たすべき注意義務を不問に付すものです。貸手は、借手の信用に問題ありと判断するなら、お金を貸さなければ良いのです。「最後は親に責任を取ってもらう」というような姿勢は、まともな大人同士の取引に相応しいものと言えるでしょうか?

(2)契約書をつくること

 金銭消費貸借契約の成立のために、書面で契約を交わすことは法律上の要件ではありません。しかし、返してもらうつもりがあるのに、単なる口約束だけでお金を貸すことは、たとえ親しい者同士の間であったとしても、軽率に過ぎます。

 契約を書面にするということには、次のような意味があります。

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  • 合意内容を明確にして、後日の争いを防止する
  • 債務者に対して任意の履行を促す
  • 紛争化した時のための証拠を用意する

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 さらに、

 d. 契約内容を公正証書にしておけば、一定の要件のもと、これが債務名義(下記2(1)参照)となり、直ちに債務者等の財産に対して強制執行をかけることもできます。通常、債務名義を得るためには、裁判等の手段によらなければならないのですから、私人間の合意によって簡単に作成することのできる公正証書には、その手間を省くというメリットがあります。

 もっとも、契約を公正証書にすべき場合は、非常に限定されていることに注意しなければなりません。そもそも強制執行するためには、執行対象として適当な財産(不動産や債権)がなければなりません。もしそのような財産が存在するのならば、通常は公正証書を作成するよりも、はじめからその財産の上に担保権を設定しておく方が、より直接的な債権回収に資するはずです。

 では、担保権の設定よりも、公正証書作成の方が都合よいといえるのは、具体的にはどのような場合を指すのでしょうか?

 例えば、それは、債務者にとって、担保が設定されたことを誰かに察知されたくない事情があるような場合です。抵当権が設定されれば、不動産の登記簿上に負債を負った事実が記載されてしまい、取引先等に知られてしまう可能性が高まります。事業者ならば、そのようなことを契機として、金融機関から運転資金の融資が受けづらくなったり、融資を引き上げられてしまったりする事態が生じるかも知れません。

 このように考えると、公正証書でなければならないような事情がある場合とは、すでに債務者に信用不安が生じている段階であるのかも知れません。そのような段階で公正証書を作成することに、どれ程意味があるでしょうか?

2. 回収する段階で考えること

 債権回収の方法には、強制執行や担保権実行のような強制的な方法と、債務者の履行を促す任意的な方法とがあります。

(1)強制執行を検討する意義

 予め担保権を設定していなかった債権者が、債務者の財産から債権の満足を得るためには、通常、債務名義を得て強制執行する必要があります。

 債務名義とは、強制執行するために必要な、債権の存在を公証する一定の文書のことです。債務名義となる文書については、民事執行法第22条各号に定められています。その中で代表的なものは、給付訴訟の勝訴判決や執行証書(執行認諾文言を記載した金銭の給付に関する公正証書)です。

 しかし、強制執行を検討する意味があるのは、あくまでも執行対象として適当な財産があってこその話です。財産がない相手に対して、いくら債務名義を取ったところで、それは絵に描いた餅に過ぎません。

 さらに、執行対象とすべき財産が存在するとしても、訴訟のように債務名義取得に時間を要するような場合には、保全手続きによって財産の散逸を防止する手立ても併せて取っておく必要があります。それら一連の手続きに要する弁護士費用、訴訟費用や執行費用等を差し引いても十分に債権の満足に充てるだけのおつりが出るのであれば、強制執行を検討する意義があるのでしょう。

(2)任意に履行させるためには

 債務者に任意の履行を促すことは、債権・債務の関係がある場合に、最初に検討すべきことであると同時に、強制的な手段を検討し尽くした後に再び考えなければならないことでもあります。

 日常生じる債務というのは、強制的手段による回収には事実上なじまないものがほとんどです。知人同士の関係では、債権を裏付ける証拠すら存在していないことはざらです。また、少額の債権を回収するために、回収可能額に釣り合わない費用をかけることもできません。さらに、債務者側にも、払いたくても払えない事情があるのかも知れません。

 話し合いで決着がつかない場合に、任意の履行を促すために取りうる手段としては、具体的には、以下が考えられます。

[ ア. 内容証明郵便]

 前述のとおり、一般的には、内容証明郵便で「払いなさい。」と催告しても、債務者に対して心理的圧迫を与える効果しかありません。債権者が、債務者に対して、訴訟をも辞さないという態度を示すことによって、裁判沙汰になる前に自発的に払う気にさせるということです。しかし、一定の場合には、内容証明郵便を送ることが心理的圧迫以上に重要な意味を持つこともあります。

 例えば、時効(民法第167条1項他)にかかりそうな債権を回収しようとしている場合には、裁判上の請求等の時効中断行為の前段階として、取り急ぎ内容証明郵便を送りつけて、催告(民法第153条)事実とその日付等を明らかにしておく必要があります。

 さらに、家賃滞納が問題となっているのであれば、賃貸借契約を解除する前提として、内容証明郵便を利用して催告事実とその日付等を明らかにしておく必要があります。

[ イ. 裁判所を利用した紛争解決]

 裁判所を利用するのは、訴訟のためだけではありません。

 民事紛争に関しては、和解の一種である民事調停を利用することが出来ます(民事調停法第2条)。当事者同士の私的な話し合いでは決着のつかない問題であっても、法律の専門家である裁判官や調停委員を交えた話し合いでなら、妥当な解決方法が見つかることもあります。もちろん、両当事者が調停に参加することが手続利用の前提となります。

 債権の性質が、養育費等の家庭の問題から生じている場合には、家事事件手続(家事調停・審判)を利用するのが効果的であることが多いものです。家事審判・調停によって定められた給付義務については、債務名義になるのはもちろんのこと、債務者の任意の履行を確保するための制度(履行勧告・履行命令)を利用することも出来ます(家事事件手続法第289条、同法第290条)。

 訴訟以外の、裁判所を利用するこれらの手続きについては、その費用が低廉なうえ、手続きも簡易であるため、弁護士等を依頼せずに当事者自身が申立てを行うことも比較的容易だと言えます。

[ ウ. 和解等]

 一度話し合いが決裂したからといって、和解の可能性が全く無くなったとも言えません。和解の可能性については、紛争開始から全ての過程を通じて常に念頭に置いておかなければいけないのです。

 債務者が、直ちに全額を弁済することはできなくとも、弁済方法や期間について和解する可能性はあるかも知れません。また、ADR(alternative dispute resolution 代替的紛争解決方法)を行う弁護士会や司法書士会等の運営する民間調停機関を利用することを考えても良いでしょう。もちろん民間調停機関の利用に際しても、両当事者が参加することが前提となります。

 もし和解が可能であるならば、その内容は当事者の署名・押印のある文書にしておくべきです。公正証書を作成する必要性については、上記1(2)と同じことが当てはまります。

 以上、主に金銭消費貸借から生じる債権の回収を念頭に置いて話をしましたが、今回取り上げたような論点は、売買、不動産賃貸借、扶養義務等、誰にでも身近な法律関係から生じる債権についても同じく検討しなければならない問題です。

 神戸六甲わかば司法書士事務所では、債権回収など金銭トラブルに関する様々なご相談を受け付けています。

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