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遺失物に関する権利と義務

投稿日:2016年03月11日【 金銭トラブル

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 日本では、落し物(=遺失物)をしても、それが落とし主(=遺失者)の許に戻って来るのは珍しいことではありません。

 遺失物をとりまく権利や義務を考えるとき、道徳的な部分のみに目が行ってしまいがちですが、今回は、遺失物に関する法律について整理してみましょう。

1. 拾得者の義務

(1)警察と遺失物

 遺失物の拾得者は、速やかにそれを、遺失者に返還するか、警察署長に提出しなければなりません(遺失物法第4条1項他)。直接遺失者に返還する場合とは、遺失者が拾得者の目の前で落としたような場合に限られるでしょう。

 遺失物に関する事務を管理する主体は、原則として警察署長です。ここで「署長」というのは単に機関のことを指しているのであって、交番か警察署に提出すればよいのです。警ら中のお巡りさんに提出しても構いません。紛らわしいので、以下、単に「警察」と呼ぶことにします。

イメージ:遺失物

 遺失物を受け取った警察は、以下のような事務を行います。

  • 拾得者に対する受取証の交付
  • 遺失者に対する遺失物の返還
  • 遺失物に関する公告(公表)・照会
  • 一定の遺失物の売却・処分

 上記のうち、「公告」とは、遺失物に関する情報を、警察署の掲示板に張り出すことです(遺失物法第7条)。さらに、インターネットでも、同じ情報が「公表」されるようになりました(遺失物法第8条2項)。

 公告の主たる目的は、遺失者を捜索することですが、遺失者が現れなかった場合に遺失物に関する権利関係を確定させるという意味もあります。現行法では、公告期間は3カ月と定められています。つまり、公告から3カ月経過すれば、遺失者が現れなくても、遺失物の帰属先や処分方法が定まるということです。

(2)施設の中で拾得した場合

 拾ったのが施設の中であった場合は、拾得者は、速やかに「施設占有者」に対して、遺失物を提出しなければなりません(遺失物法第4条2項)。例えば、ビルの中で拾ったものは、そのビルの管理事務所等に提出しなければならないということです。

 施設占有者の主な役割は、遺失物を拾得者から受け取って、それを警察に提出することです。この場合でも、警察が上記1-(1)のような事務を行います。

 しかし、施設の中にも、比較的大規模で、不特定多数に利用され、それ自体が遺失物の管理機能を備えたものが存在します。このような施設は、政令で「特例施設占有者」として規定されるか、公安委員会の指定を受けることにより、自ら遺失物の保管等を行うことができます。つまり、特例施設占有者は、警察の遺失物管理機能の一部を肩代わりしているのです。特例施設占有者として身近なのは、公共交通機関です。

 特例施設占有者が管理する遺失物についても、警察に対して、一定期間内に情報の届出がなされます。警察は、この届出に基づいて、遺失物に関しての公告(インターネットによる公表を含む)及び照会を行います。つまり、遺失物に関する情報は、拾得場所がどこであれ、警察により集中的に管理される仕組みなのです。

(3)刑罰との関係

 遺失物を拾ったまま、警察等に提出しなければ、遺失物等横領罪(刑法第254条)という犯罪が成立してしまうことがあります。

 遺失物等横領罪が成立するには、単に遺失物を警察等に提出するのを懈怠していただけではなくて、「横領」することが必要です。この横領行為の要件については、本稿では省略します。

2.拾得者の権利

(1)報労金

 遺失物の返還を受けた遺失者は、拾得者に対して、当該物件の価格の一定割合(100分の5から100分の20)に相当する額を報労金として支払わなければなりません(遺失物法第28条1項)。さらに、遺失物の提出を受けた施設占有者がある場合には、施設占有者に対しても、一定割合の報労金を支払わなければなりません。

 この報労金に関する規定は、①返還を受けた遺失者からの謝礼、又は②私人たる拾得者及び施設占有者を遺失物行政に協力させるための対価という意味があるのでしょう。しかし、正直なところ、この規定には違和感を覚えます。そもそも謝礼を法律で規定するべきではないし、行政への協力に対価が必要だというのも奇妙です。

(2)所有権の取得

 拾得者は、遺失物法に定める公告をした後3カ月以内に所有者が判明しないときは、遺失物の所有権を取得します(民法第240条)。その他、遺失者が遺失物についての権利を放棄したときも、拾得者が所有権を取得します(遺失物法第32条)。

3. 遺失物の種類による取扱いの違い

(1)個人情報の含まれる遺失物

 個人情報の含まれるクレジットカード、免許証や携帯電話等については、公告・照会しても遺失者が判明しなかったり、遺失者が権利を放棄したりしても、拾得者にその所有権を取得させることは適当ではありません。そこで、これら物件については、拾得者が所有権を取得することは出来ないと規定されています(遺失物法第35条)。

(2)大量・安価な遺失物

 傘、衣類や自転車等、個々の物件の価値が低く、大量に生じる遺失物は、遺失者が名乗り出ないことが多いにもかかわらず、大きな管理コストがかかってしまいます。そこで、これらの物件については、2週間という短期の公告後に、警察及び特例施設占有者が、売却又は処分することが出来るようになりました(遺失物法第9、10、20条)。

(3)犬と猫

 所有者の判明しない犬又は猫を拾得したら、警察ではなくて、都道府県等(いわゆる「保健所」)に引き取りを求めることになります(動物愛護法第35条)。つまり、迷子の犬や猫は、遺失物ではないのです。

 動物愛護法が適用されるのは、犬と猫に関してのみなので、他の種類の動物(ウサギ、カメ等)を拾得した場合には、遺失物として、警察に提出する必要があります。

 落し物は、誰にとっても身近な問題です。今回のテーマは、私の仕事(司法書士業)とは直接関係ないのですが、稀にそんな質問を受けることもあるので、書いてみた次第です。

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