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不動産売買と税金について

投稿日:2018年05月26日【 不動産登記

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不動産売買は、税務当局にとっては絶好の課税機会です。しかし、高い税金を取られるかも知れないというのに、売買当事者の中には、税金に関して無頓着な人が多いように思われます。

 

そこで、今回は、不動産売買に関する税金及び軽減等の制度について概観してみましょう。

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1 売主に関わる税金

(1) 譲渡所得税(復興所得税、住民税)

不動産売買から生じた所得(=譲渡所得)に対しては、国税である所得税及び復興所得税、並びに市・県民税である住民税が課税されます。これらは、確定申告の方法によって納税します。

 

納税額を知るためには、まず、次の計算式によって、課税標準となる「譲渡所得金額」を計算します。

 

「譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」

 

ここで、「譲渡価額」とは、買主から受け取る売買代金のことです。

 

「取得費」とは、当該不動産を購入・建築等した代金・費用や仲介手数料等のことです。建物についての取得費は、減価償却分を差し引いて算出します。

 

当該不動産を取得したのが大昔のことで取得費がわからないというような場合でも、収入金額の5%相当を取得費とみなして計算します。例えば、取得費不明の土地建物を1000万円で売却した場合、その5%である50万円を取得費とすればよいということです。

 

次に「譲渡費用」とは、仲介手数料、契約書印紙代(下記3)等、不動産売却のために直接かかった費用のことです。

 

「特別控除」の代表例は、マイホーム売却の場合の3000万円の特別控除です。つまり、マイホームを売却する場合には、大雑把に言えば、3000万円くらいまでの儲けに対しては、所得税がかからないようになっているわけです。その他にも、対象不動産の性質や売却事情等によって、特別控除額が定められています。

 

不動産譲渡所得に対する税金は、「分離課税」の方式で計算します。この意味するところは、他の所得(例えば、給与所得)と損益通算することができず、税率も別途に定められているということです。

 

税率は、譲渡年の1月1日時点で所有期間が5年を超える(=長期所有)か否か(=短期所有)によって異なります。

 

5年超長期所有の場合の税率は15.315%、5年以下短期所有の場合のそれは30.630%です(それぞれ復興所得税分を含む)。さらに、住民税として、長期所有なら5%、短期所有なら9%の税率で計算した税金を納税しなければなりません。これらの税率を、譲渡所得金額に乗ずれば、譲渡所得税及び住民税が算出できます。

 

以上の説明から、マイホーム売却の場合には特別控除の額が大きいため、課税対象になるような譲渡所得が生ずるようなことは少ないと言えます。また、80年代に極端な地価上昇を始める前の時期に割安で取得した土地や、取得額すら分からなくなってしまった土地を売却する場合を除けば、課税対象になるような譲渡所得が生ずることは少ないと言うこともできます。さらに、投資目的不動産の売却のような場合を除けば、仮に儲けが出ても、高い方の税率(短期譲渡所得の税率合計39.63%)が適用されることはないと言うこともできます。

 

これをまとめると、譲渡所得税に気をつけるべき売買取引とは、次のどれかに当てはまるような場合ということです。

 

・非マイホーム不動産の売却である。

・売却する不動産の取得年がとても古い。

・短期の転売である。

 

 

(2) 軽減等の特例

まず、マイホーム不動産の売却については、譲渡年の1月1日時点で所有期間が10年を超える場合には、上記の長期所有不動産の譲渡所得税率よりも更に軽減された税率が適用されます。ただし、この制度が適用されるような売買取引というのは、とても稀でしょうが。

 

また、マイホームの買い換えについては、売却だけではなくてその次の購入までを一連の課税対象行為としてみなければ不公平を生ずることから、課税繰延べの制度が設けられています。これも、適用可能な事例は限られるでしょう。

 

これら特例について、本稿では詳細に立ち入ることはしません。詳しく知りたい方は、国税庁タックスアンサー等で確認してください。

 

 

 

2 買主に関わる税金

(1) 登録免許税

購入した不動産の権利を第三者に対抗できるようにするためには、これを登記によって公示する必要があります。登記をするための国税を登録免許税と呼び、登記申請と同時に法務局(=登記所)を通じて納税します。

 

売買にかかる登録免許税の課税標準となるのは、固定資産の評価額です。売買価額は関係ありません。この税率は2%です。ただし、土地については、当分の間1.5%に軽減されています。

 

例えば、固定資産の評価額1000万円の土地と同500万円の建物を代金3000万円(登録免許税計算には無関係)で買った場合、登録免許税は、次の計算によって求められます。

 

「登録免許税=土地評価額×1.5%+建物評価額×2

=1000万円×1.5%+500万円×2%=25万円」

 

登録免許税は、法文上、登記義務者(=売主)と登記権利者(=買主)とが連帯して納税義務を負うとされています(登録免許税法第3条)。しかし、売買契約によって買主のみが納税義務を負うと修正されていることがほとんどですし、商慣習上も同様に解されています。

 

 

(2) 不動産取得税

不動産取得税は、不動産を売買等によって取得した場合に課税される県税です。原則、納税義務者たる買主自ら申告のうえ納税しなければなりません。

 

しかし、不動産取得税は一般に周知されていないため、これを申告する人はほとんどいません。そこで、ほとんどの県税事務所では、登記記録の異動をもとに納税義務者を特定して、課税通知するという扱いが一般化しています。

 

不動産取得税の税率は、固定資産評価額(売買価額ではありません)を課税標準として4%です。ただし、当分の間、税率は3%に軽減されています。また、宅地については、課税標準を2分の1とする軽減措置も取られています。

 

例えば、固定資産の評価額1000万円の土地と同500万円の建物を代金3000万円(不動産取得税計算には無関係)で買った場合、不動産取得税は、次の計算によって求められます。

 

「不動産取得税=(土地評価額×1/2+建物評価額)×3

=(1000万円×1/2+500万円)×3%=30万円」

 

 

(3) 軽減の特例

登録免許税についても、不動産取得税についても、マイホーム不動産の購入の場合には、一定の要件のもと、軽減の特例制度が用意されています。それぞれ細かい適用要件があるので、本稿では詳細の立ち入ることはしません。

 

 

3 その他

(1) 印紙税

上記の他、契約書等の課税文書には、印紙税法にもとづいて所定額の収入印紙を貼付しなければなりません。これは国税です。印紙を貼って消印すれば、納税が完了します。

 

例えば、代金3000万円の不動産売買の契約書には、1通当たり2万円の印紙を貼付しなければなりません。通常、売買契約においては、合計2通の契約書を用意するので、買主・売主とも各2万円ずつを納税することになるわけです。

 

さらに、買主がローンを利用して不動産を購入する場合、ローン契約書にも所定額の印紙を貼ります。例えば、3000万円借りる契約であれば、1通当たり2万円分の印紙が必要になります。

 

 

(2) 住宅借入金等特別控除(=住宅ローン控除)

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合、一定の要件のもと、ローンの年末残高をもとに計算した金額を、居住開始年分以後の各年の所得税額から控除する制度です。細かい適用要件があるので、本稿では詳細の立ち入ることはしませんが、特にサラリーマン(=給与所得者)がこの制度を利用しようとする場合、申請手続についてよく勉強しておいた方が良いでしょう。

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