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中国人の所有する不動産の相続について

投稿日:2017年06月26日【 ひとりごと | 不動産登記 | 相続 | 遺言

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近年、中国人が日本の不動産に投資する事例が増えてきました。そのような取引を目にする度に、「将来その中国人所有者が死んでしまったら、不動産はどうなるのだろう?」という疑問を持たざるをえません。今回は、そんな問題意識を皆さんとちょっとだけ共有してみたいと思います。

 

 

1 あらたな問題?

外国人が日本の不動産を所有するという現象は、最近になって突然生じたわけではありません。というのも、日本には古くから在日韓国人等の永住外国人が数多く暮らしており、彼らが日本の不動産を所有して居住や事業のために利用するといったことは別に珍しくはなかったからです。そして、彼らに相続が生じた際の不動産の承継手続きについても、実務の蓄積による方法論が一応存在しています。

 

また、その他の外国人については、かつて日本の不動産を購入していたのは、熟練した個人投資家や機関投資家くらいであったように思います。そのような購入者であれば、承継(転売や相続)のことについても当然に織り込んでいるはずです。不動産投資に限らず、全ての投資は、出口を見据えて行うものだからです。

 

しかし、近年の中国人の不動産取引は、上記とは区別して考えた方がよいように思います。というのは、購入の目的は確かに投資ですが、その投資を必要とする主たる理由が中国国外への資産避難というところにあるように見えるからです。購入した後に、その不動産をどのように承継させるかというところにまでは考えが及んでいない人達も多いように思われます。

 

もし、中国人投資家のうちの一定数の人達が承継について無計画のまま日本の不動産を購入しているという印象が真実そのとおりであれば、将来、彼らの購入した不動産の権利関係について困難な問題が生じてしまうかも知れません。購入した不動産を売り抜けることなく購入者が亡くなってしまうことも、少なからず生じるでしょう。

 

 

2 日本人の相続と何が違うのか?

日本人にとっては当たり前のことと思われるかもしれませんが、日本人に相続が生じた際には、①日本の民法が適用され、さらに、②戸籍制度によりその相続関係を容易に証明することができます。

 

これに対して、外国人に相続が生じた際には、①も②も無いのが原則です。即ち、相続に関しては、被相続人の本国法による(法の適用に関する通則法第36条)のが原則です。また、戦前に日本の植民地であった国々の一部(韓国と台湾)に戸籍制度が存在するのを除けば、国家が国民の相続関係を把握していないという状態のほうが世界的にはむしろ当たり前と言えるでしょう。

 

さらに、中国については、経済の現状はどうあれ、社会制度においては共産主義の国家です。相続法をはじめとした私有財産保護に関する法制度が十分に整備されているとは、とても思えません。

 

 

 

多少なりとも鼻の利く人々は、本稿で述べたような問題点を商機ととらえて、中国人富裕層向けにいろいろなスキームを提供しているようです。ここでは、その内容を紹介することも、いちいち批評することもしないでおきましょう。

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